2014年1月12日日曜日

ワーク・シフト 2025年の働き方。もっと早くやってくるよ。




 リンダ・グラットンの「ワークシフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉」読了。

気になっていたところ「2013年ビジネス書大賞」(http://biztai.jp/prize.html
に選ばれたということで、購入の背中を押してくれた。

「第1にさまざまな専門技能を次々と身に付けることを意識して行動し、第2に、いろいろなタイプの興味深い人達とつながり合うために、善良に、そして精力的に振る舞い、第3に所得と消費に重きを置くのではなく、情熱をいだける有意義な経験をしたいという思いに沿った働き方を選択する必要がある。」

第1のシフト
 ゼネラリストから『連続スペシャリスト』
第2のシフト
 孤独な競争から『協力して起こすイノベーション』
第3のシフト
 大量消費から『情熱を傾けられる経験』へ


要素の一部はIT業界では既に広まりつつある概念だと思うのだが、一般のビジネスの世界では『比較的』新しい考え方なのかもしれない。

第1のシフトの『連続スペシャリスト』は、DevOps、グロースハッカー、フルスタックエンジニアなどコアの思想は似ている。

第2のシフトの『共創』は、wikipediaやオープンソース、ソーシャルコーディングなど、その実績は十分にある。

第3のシフトの『経験』はシリコンバレーのスタートアップの起業の熱量なんかじゃないのだろうか。時間に追われるのではなく、自分たちで自由な意思に基づく覚悟と、その時間を活用する生き方。

しかし、これを自分が実践するということは、まったく出来ていない訳で、その将来像を明確に定義してくれたことがスゴい。
ビジネス大賞に選ばれるということで、この概念がコモンセンスになるし、新しい価値観が世の中の常識になっていくことを期待したい。

企業のあるべき姿

「産業革命と違うのは、変化の影響がただちにグローバルに波及し、変化のスピードがこれまでになく加速していることだ。はっきりいえるのは、いま途方もなく大きな規模創造的・革新的変化のプロセスが本格的に始まろうとしているということ。そして、その大転換の結果、世界中の人々の毎日の生活が根本から変わるということだ。」

産業革命の原動力
 石炭と蒸気機関という新しいエネルギーだった

これから起きる変化:5つの要因の複雑な相乗効果
  1.  テクノロジーの進化
  2.  グローバル化の進展
  3.  人口構成の変化と長寿化
  4.  社会の変化
  5.  エネルギー・環境問題の深刻化

この変化に対応ことを前提に物事を考えるか、分からないとして思考停止するか、方法は色々ある。予測できるものは、仮説を立て、随時それを見直し、変化を敏感に感じ、方向修正していくことを、年という単位ではなく、もっと短いスパンで考え・行動する必要がありそうだ。

そして、やはり以下のような不確実性のワダイが出てくる。

「不確実がある以上、柔軟な計画を立てて、さまざまな状況に耐えうる強力なアイデアを追求するのが懸命だ。要するに不確実性を前提に戦略を練る必要がある。とはいえ予測の正確性を磨くこともおこたってはならない。」

アジャイルやリーンの概念がやはりここでも表現されている。計画主義より、コンパスを頼りに高速で経験していくということ。ユニクロの柳井さんが、「毎日でも組織構造を変えたい。なぜなら日々世の中が変化しているからだ」ということが脳裏によみがえってきた。アジャイルとかリーンとかの言葉を使うと拒絶反応をする人達がいるので、こういった引用を用いるといいんだろうなぁ。

この変化を管理的手法で考えていたら、人は自主的判断をせず、他人任せにしてしまう。その答えが「遊び」だ。

「創造性を刺激し、新しいアイデアを生み出す上で、遊びがきわめて重要であることは古くからよく知られている。...空想と想像をはたらかせて遊ぶことがイノベーションの核をなしている。...未来の世界で創造性を発揮するうえで最良の方法は間違いなく、仕事と遊びの境界線をあいまいにすることだ。仕事が情熱を燃やせる趣味であるとき、私達はもっとも充実した仕事ができる。」

最高に遊ぶ。熱狂的に遊びながらものを創る。こんなことをしながら世の中のスタートアップのサービスは出来上がっていくのだろう。クリステンセンのイノベーションのジレンマが、もう既にグローバルに起こっている。自分たちの業界だけでしか物事を考えていないと、一気に市場を奪われてしまう。管理的手法で計画的に8時間労働でサービスを作る業種や分野も多く存在するだろう。しかし、Webの世界では、経験的手法で熱量をもったハスラー達が浸食を忘れ、熱狂的にコ・クリエーションしている。そんなサービスと戦うのではなく、共創していくことを強く認識しないといけない。

自分ブランドを築く方法


3つのタイプの人的ネットワーク

  1.  ポッセ(同じ志をもつ仲間)
  2.  ビッグアイデアクラウド(大きなアイデアの源となる大人数のネットワーク)
  3.  自己再生のコミュニティ(リラックスできる友達)

高い価値をもつ専門技術の3条件
  1.  価値を生み出せるか?
  2.  希少性があるか?
  3.  まねされにくいか?

と書かれている。

企業自身も、それぞれの個人も、これらに注力していかないといけない。
なぜなら、

  • 多様性が単一文化を凌駕する
  • 学習と成長の機会が得られること。刺激をお互いに与えられる人達と仕事をすること。
  • 管理よりコーチングを求めている


つまり、以下なのだ。

「新しい未来を切り開くためには、これまでの固定概念、知識、技能、行動パターン、習慣などを根本から『シフト』する必要がある。」


『資本論』のマルクスも、仕事は受動的な生産と消費のプロセスではなく、積極的な自己実現のプロセスであるべきだと、考えていたらしい。そして、この本では、『カリヨンツリー型』のキャリア形成をしていくとこが重要だといっている。カリヨンツリーってなんだと思ってググってみた。


なるほど、線形のキャリア形成ではなく、色々な分岐や多様性を自分自身として磨かなくてはいかないということなのだ。
 
NHKの大河ドラマの『八重の桜』の八重の人生に似ているなぁ。

  • 鉄砲を学び
  • 大学を作ることを
  • 看護婦としての学ぶ

一生学び続け結果を出している。

そう言えば、この学ぶ仕組みはオーストラリアに存在してた。大学院やTAFEという仕組みが存在しており、費用がほぼかからない状態で生涯学習ができキャリア形成を何歳でも実現できるし、そのキャリアを企業も求めている。
在籍していた大学院にも多くのミドルエイジの人々が学んでいた。結構簡単に学びに来て、簡単に辞めていっちゃうのは、問題だと思っていたけど。
日本がそうなるには、まだまだ時間がかかるだろうが、グローバルでは既に起こっている。日本では、同じ方法ではなく、違う方法で実現しなければいけないのかもしれない。



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